国際社会に出遅れないため、日本ではあらゆる分野でグローバル化が進められてきました。しかし、言語や医療制度をはじめとするさまざまな障壁により、医療分野のグローバル化だけが特に遅れていました。
そんな状況を受け、近年になって国立大学付属病院がリードしつつ、医療のグローバル化が急速に進められています。
「国立大学付属病院長会議」では、毎度7つのテーマについて話し合われています。その中の一つに「国際化」というテーマが盛り込まれています。そのことからも日本の医療におけるグローバル化は重要な項目であることが窺い知れます。
医療のグローバル化の具体例として、東京大学医学部付属病院では、「国際診療部」という部門を設け、外国人の患者さんを積極的に診療しています。それだけでなく、日本の最先端の医療技術を世界に発信しています。
そのため、同病院では治療法だけでなく事務的な面でも、外国人の治療に関する経験データが蓄積されています。たとえば、医療費の請求方法や外国人の患者さんとの意思疎通の取り方、診察券の作り方までの細かいノウハウは、現場ではしっかり身についているといって良いでしょう。それらのデータをもとにマニュアル等を作り、他の病院にも展開していくことが今後の目標とされています。
病院の中でも、特に患者さんと接する機会が多いのが看護師です。実際、英語を話せる看護師の数は少なく、グローバル化の波に乗れていないことが課題となっています。外国人の患者さんの気持ちを十分に理解し、安心させるためには、やはり言葉による意思疎通が不可欠です。ゆくゆくは、医療のグローバル化が進むとともに、看護師自身にも英語スキルが求められていくでしょう。